薬剤師と看護師の年収はどっちが高い?将来性、難易度、仕事の違いを徹底比較
薬剤師の平均年収は565万円で看護師の平均年収は492万円と、薬剤師の方が73万円高くなっています。
この記事では薬剤師と看護師の年収だけではなく、将来性や仕事内容、学費、難易度なども比較します。
薬剤師と看護師どっちになりたいか悩んでいる人に向けて、薬剤師の私がわかりやすく説明します
一覧表にすると、以下のようになります。
薬剤師 | 看護師 | |
平均年収 | 565万円 | 492万円 |
難易度 (令和4年国家試験合格率) | 68.0% | 91.3% |
勉強量 | 6年 | 2~5年 |
学費(国立) | 約350万円 | 約234万円 |
学費(私立) | 920~1419万円 | 385~810万円 |
学費(専門学校) | – | 450万円 |
主な就職先 | 調剤薬局 ドラッグストア 病院 製薬企業 化学系企業 公務員 | 病院 診療所 訪問看護ステーション 介護老人保健・福祉施設 企業 公務員 |
将来性 |
記事ではそれぞれについて詳しく書いているので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
薬剤師と看護師の平均年収は?
まず薬剤師と看護師の平均年収を比較してみましょう。
薬剤師の平均年収は565万円で看護師の平均年収は492万円と、薬剤師の方が73万円高くなっています。
薬剤師 | 看護師 | |
平均年収 | 565万 | 492万円 |
また、薬剤師と看護師の年代別の平均年収は、令和2年度の厚生労働省の資料によると、以下のようになっています。
ほぼすべての年代では薬剤師の方が高いです。
20-24歳の薬剤師の年収が看護師より低いのは、薬剤師は6年制大学卒業後の24歳から働くためと推測できます。
ただ、どちらの職種も日本人の平均年収436万円を20代から超えられる職業です
薬剤師と看護師の難易度と勉強量
次に国家資格取得の難易度を比べてみましょう。
令和4年の国家試験合格率を比較すると薬剤師68.0%、看護師91.3%と、合格の難易度は薬剤師の方が高いです。
薬剤師 | 看護師 | |
難易度 (令和4年国家試験合格率) | 68.0% | 91.3% |
勉強量 | 6年 | 2~5年 |
また、勉強量も薬剤師の方が多いです。(薬剤師は6年、看護師は2~5年)。
下のグラフを見ると、薬剤師(青いグラフ)と看護師(緑のグラフ)になるまでに必要な年数がわかります。
薬剤師になるには、6年間大学に通う必要があるんです
一方看護師は、国家試験の受験資格を得る方法は以下の4つあり、それぞれ2~5年間勉強する必要があります。
- 大学(4年間)
- 短期大学・看護師養成所など(3年間)
- 准看護師資格取得から2年間
- 5年一貫看護師養成課程(5年間)
この中では5年一貫看護師養成課程が最も早く看護師になれます。(卒業後、国家試験に合格した場合)
また看護師は4年制大学を卒業すると、「保健師」と「助産師」の国家試験受験資格を得ることもできます。
まとめると、薬剤師の方が6年間の勉強量が必要なため、資格取得の難易度は高いといえます。
薬剤師と看護師の国家資格取得までにかかる学費
薬剤師と看護師は国家資格取得までにかかる学費も違います。
下のグラフを見ると学費の違いがわかります。青いグラフが薬剤師で、緑のグラフが看護師です。
国立大学は文部科学省の省令で、入学金と授業料の基準額が決められているため、ほぼ全ての大学が同じ金額になっています。(令和3年6月調べ)
公立大学は、国立大学と授業料は同じですが、ほぼ国立大学と同じと考えて良いです。
地元出身者に対し入学金を安くする嬉しい制度のある大学もあります。
(例)入学料・授業料 | 入試情報 | 静岡県公立大学法人 静岡県立大学
私立大学の学費は薬学部も看護学部も大学ごとにかなり幅があり、薬学部は1200万円、看護学部は700万円あたりが目安となります。
学費 | 薬学部 | 看護学部 |
私立大学 | 約1200万円 | 約700万円 |
最安値と最高値の学費総額も調べてみました。
最安値 | 最高値 | |
薬剤師 | 920万円(奥羽大学) | 1419万円(立命館大学) |
看護師 | 385万円(福井医療大学) | 810万(東邦大学) |
学費はどちらも高額になります。
でも学費が高くて資格が取れない…と、諦めないでください!
どちらも奨学金制度があります!
国の行っている奨学金制度や学校だけでなく、就職すれば奨学金返済サポートをしてくれる薬局・病院もあります。
学費が高いと諦めずに高校の先生や行きたい学校、病院、会社に相談してみましょう!
【国が行っている奨学金制度】独立行政法人日本学生支援機構 – JASSO
【薬剤師】大学に奨学金返済制度がないかホームページを確認しましょう(例)奨学金|入試情報|東北医科薬科大学
【看護師】日本看護協会|看護職を目指す方へ
調剤薬局大手の日本調剤では、月最大7万円の『奨学金返済サポートコース』があります。
奨学金を借りて返済したい薬剤師はぜひ見てみてください。
日本調剤はやばい?悪い評判・口コミは本当なの?薬剤師の年収や実態を徹底調査
薬剤師と看護師の仕事内容と違い
ここでは薬剤師と看護師の仕事の内容もみていきましょう。
薬剤師の仕事内容
薬剤師は薬の専門家で、薬が関わるほぼ全ての仕事で活躍しています。
具体的には、
- 処方せんに基づいて調剤する
- 処方せんの内容に問題があれば医師と確認する
- 患者さんに正しいお薬の使い方を説明する
- 新しい薬を開発する
などがあり、
- 薬局
- 病院
- 製薬会社
- 化粧品や食品メーカー
- 公務員
などいろいろな場所で仕事をしています。
薬剤師は薬局や病院で調剤するだけでなく、いろいろな仕事で必要とされています
看護師の仕事内容
看護師の仕事内容は、
- 医師の診察や手術などの補助
- 採血や注射をする
- 患者の病状回復のための手助け
- 訪問看護
などで、
- 病院(病床20以上)
- クリニック(病床19床以下)
- 介護施設
- 企業
- 公務員
いろいろな職場で幅広く活躍しています。
高齢化で訪問看護のニーズも増え、看護師の仕事はこれからますます重要になってきます
薬剤師と看護師の仕事の大きな違いは、看護師の方が患者さんに直接関わる仕事が多く、体力的にも精神的にもタフな人が向いていると思います。
薬剤師と看護師どっちが上?なんて無意味
ネットなどでは、『薬剤師と看護師はどっちが上?』というつまらない比較をする意見があります。
2つの職業の内容をみれば、このような比較は無意味であることがわかります。
医療は非常に高度化し、専門領域を細分化しないと成り立たないから『チーム医療』が重要なんです。
それぞれのプロフェッショナルとしてプライドを持ち、このような比較はスルーしていきましょう。
薬剤師と看護師の将来性
結論から言うと、現状の流れでは看護師の方が将来性のある職業だと思います。
ただ、薬剤師の職業も変化する可能性があり、どちらも需要の高い職業であることには変わりません。
薬剤師と看護師の将来性を考える上で、大事なポイントは2つです。
一つづつ見てみましょう。
①AIに変えても問題ない職業か
デジタル技術の革新で、AIに奪われる職業が出てくると話題になりましたね。
実際に、AIに代替されやすい職業のランキングも発表されています。
下の表を見てください。青い丸で囲ったところが薬剤師、緑の丸で囲ったところが看護師です。
上に行くほどAIに変わりやすい職業です。
薬剤師の方がAIに変えやすい仕事が多く、仕事の内容が変わらなければ薬剤師のほうが将来性のない職業です…
②医師の長時間労働の見直し
もう一つのポイントは、医師の長時間労働の見直しです。
厚生労働省では医師の働き方改革を推進しており、勤務医の労働時間を制限するための、法改正を行おうとしています。
全ての勤務医の時間外・休日労働の年間上限時間数が令和6年度までに上記の 960 時間又は 1,860 時間に収まっている必要がある。
引用元:厚生労働省|医師労働時間短縮計画策定ガイドライン(案)
また、医師の労働時間が短くなることで、他職種の業務内容にも変更がある可能性についても言及しています。
タスク・シフト/シェアについては、長時間労働を行う医師だけではなく、他の医師や看護師、薬剤師、医師事務作業補助者等の各職種の業務に大きく影響するものであることに留意は必要である
引用元:厚生労働省|医師労働時間短縮計画策定ガイドライン(案)
つまり薬剤師、看護師はどちらも業務範囲が拡大し、医師の業務範囲の一部が移行してくる可能性が高いんです
薬剤師も、『かかりつけ薬剤師制度』の導入など、AIではできない対人業務の比率が上がっています。
また、欧米のように薬剤師に処方権が与えられる可能性も0ではありません。
看護師はすでに業務拡大で、特定行為を行うための研修制度も始まっています。
医師又は歯科医師の判断を待たずに、手順書により、一定の診療の補助(例えば脱水時の点滴(脱水の程度の判断と輸液による補正)など)を行う看護師を養成し、確保していく必要があります。
引用元:厚生労働省|特定行為に係る看護師の研修制度の概要
つまり、薬剤師も看護師もそれぞれの専門性を生かす業務が増え、将来性のある職業であることは間違いないでしょう。
薬剤師と看護師の比較まとめ
薬剤師と看護師の仕事の比較をまとめます。
薬剤師 | 看護師 | |
平均年収 | 565万円 | 492万円 |
難易度 (令和4年国家試験合格率) | 68.0% | 91.3% |
勉強量 | 6年 | 2~5年 |
学費(国立) | 約350万円 | 約234万円 |
学費(私立) | 920~1419万円 | 385~810万円 |
学費(専門学校) | – | 450万円 |
主な就職先 | 調剤薬局 ドラッグストア 病院 製薬企業 化学系企業 公務員 | 病院 診療所 訪問看護ステーション 介護老人保健・福祉施設 企業 公務員 |
将来性 |
どちらの職業も安定してやりがいのある職業ですが、向き不向きもあります。
どちらが上とかではなく、仕事の内容を見て、あなたのなりたい方を選んでくださいね!
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